エレクトーン弾きが知っておきたい著作権の話③~著作権以外の権利のこと~

前に書いた演奏権著作者人格権(編曲許諾)以外にも、演奏をWeb上にアップする場合は気を付けたいことがあります。


オリジナルの音源(CDなど)を使っていませんか?

いわゆる歌ってみたなど。

エレクトーンという楽器ではあまり見ないけど、管弦などのソロ楽器の「演奏してみた」系動画ではたまに見かけます。


音源には著作権(作曲者の権利)以外に「原盤権」という、音源そのものについての権利があります。これは大体の場合は、レーベル(レコード会社。CDの発売元)が持っています。EPICレコードとか、ランティスが有名ですね。

「人の持ち物を勝手に使ってはいけない」という原則は音源に対してもあって、オリジナルの音源を使う場合は許諾が必要です。ただ、個人に対して利用許可を出すことは多分ないので「基本的にNG」と思っておいた方が良いかも。

そのため、例えば「シングルCDに入っている”オリジナルカラオケ”の音源に自分が歌ったボーカルを重ねたもの=歌ってみた」などは、原盤権の侵害となってしまいます。「権利者の申請により削除されました」となってしまった動画は、もしかしたらこれにあたるのかもしれません。


ニコニコ動画は一部のレーベルについて原盤利用の包括契約をしているので、その範囲で楽しむか、「歌ってみた用の伴奏音源」を作っている人がいるのでYouTubeとかで探してみましょう。


イラストや写真、ロゴにも権利があるって知ってる?


昨今は音源だけではなくて何かしらの映像をつけることが多いと思うのですが、以下のものは誰かの権利を侵害することになるので使わないようにしましょう。


・テレビ番組やマンガ、特定商品の「ロゴ」(商標権

・アニメキャラの「公式画像」(画像の著作権

・有名人や許可を得ていない人物の「写真」や「名前」(パブリシティ権・肖像権・氏名表示権

・ネットで拾った「画像・イラスト」(画像の著作権


特に公式画像、ファンアートを問わず「画像」は、ネットにアップされているものが音楽に比べると簡単に自分の端末にダウンロードできるのでなんとなく使ってしまいがちですが、簡単なだけに昨今トラブルも増えています

神絵師のイラストを勝手に自分のSNSアイコンにしたりとかね。


確かに、番組ロゴや公式画像を使用した動画は再生数が伸びやすかったり、その作品が好きな人たちの注目を集めやすいのかもしれません。

それでも「人の持ち物を勝手に使ってはいけない」という原則は忘れないようにしたいものです。

そもそも自分の実力や人格以外のことで注目が集まったとしても、その人たちが定着するわけもないですし。いいとこ「虎の威を借る狐」になるだけではないでしょうか。


ルール・マナーを守って楽しい配信ライフを!

特にメジャーな作品はそれに携わっている人が多い分、様々な権利が絡んできたりしますが、一度覚えてしまえばそんなに難しいものでも怖いものでもないので、動画作品を作ろうと思ったら1時間だけ時間を作って、こういうことを勉強すると良いと思います。


インターネットで演奏や音楽を発信する文化はこの15年くらいで広まってきたものだけど、

特にこの数ヵ月、外出自粛の影響で演奏動画の公開やライブ配信がプロ・アマ問わず盛り上がっています。

発信側も受信側も、参入障壁が下がったことはとても良いことだと思うので、ぜひ正しい知識を持って著作権侵害や「垢BAN」などのリスクを避け、楽しい演奏ライフを送ってください。


リスク回避といえば、うがい・手洗い・メガネ洗いも忘れずに!ということで、今回も画像をぺたり。

あづさ/kyoka's WebSite

週末エレクトーン/キーボーディスト「梓/kyoka」のWebサイトです。 編曲と合唱と鍵ハモと縦笛も少し。 元メガネ販売員/司書。眼鏡/メガネ/料理/着物/和装/図書館/アニメ/ゲーム

0コメント

  • 1000 / 1000